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今回は、金属の溶接ビード除去や開先加工、欠陥補修などに広く使われるガウジング(エアアークガウジング)について解説します。
ガウジングは、カーボン電極と圧縮空気を使用して金属を削り取る方法で、溶接作業と組み合わせることで効率的な加工が可能になります。
それでは、詳しく見ていきましょう!
1. ガウジング(エアアークガウジング)とは?
一般的にガウジングと呼ばれているのは、このエアーガウジングの事になります。ガウジングは、高電流でカーボン電極を加熱し、発生したアークによって金属を溶融させ、そこに圧縮空気を吹きつけて溶融金属を除去する方法です。
主な特徴とメリット
・手軽に金属を削れる → 溶接ビードの除去や開先加工に最適
・ガスを使わず経済的 → 酸素や特殊ガス不要、圧縮空気のみでOK
・厚板の加工が可能 → 大電流を使えば50mm以上の厚板にも対応
・高速作業が可能 → グラインダーよりも速く、効率的に加工
2. エアガウジングの基本的な流れ
① 適切なカーボン電極の選択
カーボン電極には丸型とフラット型があります。
形状 用途
・丸型(φ6~13mm)
一般的なガウジング(溶接除去・開先加工など)
・フラット型 広範囲を浅く削る作業向け
※ 板厚や削る深さに応じてφ8mm~12mmの電極を使用するのが一般的です。
② 溶接機の電流設定
エアガウジングには、直流(DC)のアーク溶接機(手棒溶接機やTIG溶接機)を使用します。
※ 電流が低すぎると削れず、高すぎると電極が早く摩耗するので注意!
③ 圧縮空気の設定
空気圧は0.5~0.7MPaが目安(切削性能を左右する重要ポイント!)。
・空気流量が不足すると → スラグが残りやすい
・空気流量が多すぎると → アークが乱れ、削りすぎる
④ トーチの角度と動かし方
・角度 → 15~30°(進行方向に傾ける)
・電極先端とワークの距離 → 3~5mm
・ゆっくり一定の速度で移動させる(速すぎると浅く、遅すぎると深く削れる)
3. エアガウジングの用途別ポイント
用途 ポイント
溶接ビードの除去 → やや高めの電流で、1回でしっかり削る
開先加工 → 均一な深さを維持するため、速度を一定に
クラックや欠陥の除去 → 低めの電流で、慎重に削る(深削りしすぎない)
4. 安全対策と注意点
エアガウジングは火花が激しく飛び散るため、安全対策が必須です!
・防護メガネ・フェイスシールド → 強いアーク光や金属片から目を守る
・耐熱手袋・防護服 → スパッタが多いため、火傷を防ぐ
・耳栓の着用 → 大きな音が発生するため、聴覚保護を忘れずに!
・換気設備の確保 → カーボン電極の煙や金属蒸気が発生するため、屋内作業時は排気装置を使用
5. 仕上げと後処理
エアガウジング後の表面は粗く、酸化スケールが付着するため、グラインダーで軽く仕上げるのが理想です。
また、溶接する場合はスラグやカーボンの残留物をしっかり除去しましょう!
6.まとめ
エアアークガウジングは、溶接の前処理や補修作業に欠かせない技術です。
・適切な電流・空気圧の設定
・電極の角度や動かし方のコツ
・安全対策を徹底する
これらを押さえれば、効率的に作業を進めることができます!
次回は「ショット加工」について解説予定です。お楽しみに!