今回は、鉄骨工事で欠かせない「仮ボルト」について解説します。
仮ボルトは、本締め前の一時固定として使われ、鉄骨建方の精度や安全性に大きく関わる重要な部品です。
それでは、詳しく見ていきましょう!
1. 仮ボルトとは?
仮ボルトとは、鉄骨工事において本締め前の仮組みのために使用するボルトのことです。
鉄骨同士を一時的に固定し、建方の調整を行う際に使われます。
主な特徴とメリット
• 鉄骨の位置決めができる → 建方時のズレ防止
• 本締め前の安全確保 → 構造の仮固定ができ、作業しやすい
• 作業効率の向上 → 本締め作業をスムーズに進められる
• 繰り返し使用可能 → 本締め後は取り外し、再利用が可能
2. 仮ボルトの種類と選び方
仮ボルトには、サイズや用途によっていくつかの種類があります。
① サイズ(径)
• 一般的に M16、M20、M22、M24 のボルトが使用される
• 鉄骨の穴径に適したサイズを選ぶ
② 強度区分(等級)
• 普通ボルト(4.8、5.8) → 軽負荷の仮固定向け
• 高力ボルト(F10T、F8T) → 強度が必要な仮締め向け
③ 形状(六角ボルト、アイボルトなど)

種類 特徴 主な用途
六角ボルト 一般的な仮ボルト 鉄骨の仮固定全般
アイボルト ワイヤーを通せる 仮吊り、補助固定
長ボルト 長さ調整可能 隙間がある部材の仮固定
3. 仮ボルトの使用方法
① 仮ボルトの挿入
• 鉄骨同士の穴に適切なサイズの仮ボルトを挿入
• 最低でも2本以上使用し、鉄骨を安定させる
② 仮締め(軽く締め付ける)
• ナットを締めすぎない(本締め時に調整できるように)
• 仮締め後、鉄骨の建て入れ精度を確認
③ 本締め前の調整
• 柱や梁の位置を微調整し、精度を確保
• 建方完了後、本締め作業に移る
④ 仮ボルトの取り外し
• 本締め完了後、仮ボルトを撤去
• 取り外した仮ボルトは、再利用可能なものは回収・保管
4. 仮ボルトの適正な本数
仮ボルトの本数は、鉄骨の安全性と作業効率を考慮して決めます。
鉄骨部材 仮ボルトの目安
柱(H鋼) 各接合部に4本以上
梁(ガセットプレート接合) 2~4本
ブレース(筋交い) 2本以上
• 風や揺れに対して十分な固定が必要
• 安全基準や施工計画に従うことが重要
5. 仮ボルト使用時の注意点
仮ボルトの使用には、いくつかの注意点があります。
① 仮ボルトの強度不足に注意
• 細すぎるボルトを使用すると、ズレや脱落の原因に!
• 適正なサイズ・強度のボルトを選ぶ
② 過剰な締め付けをしない
• 仮ボルトは調整のための固定なので、本締めのように強く締めすぎない
③ ボルトの再利用時のチェック
• 再利用する場合は、摩耗・変形・ねじ山の破損がないか確認
④ 風や揺れの影響を考慮する
• 高所作業では風の影響を受けやすいため、仮固定を確実に
6. まとめ
仮ボルトは、鉄骨建方において安全で効率的な施工を行うために重要な役割を持ちます。
• 適切なサイズ・強度の仮ボルトを選ぶ
• 仮締めは調整を考慮し、過剰な締め付けを避ける
• 本締め後に取り外し、再利用する場合は状態を確認する
• 風や揺れの影響を考え、安全基準を守る
これらのポイントを押さえ、正しく仮ボルトを使用しましょう!
次回は「〇〇」について解説予定です。お楽しみに!
こんな感じでどうでしょう?
申し訳ございませんが、JASS 5(日本建築学会 建築工事標準仕様書)の中で、仮ボルトの適正な本数に関する具体的な記述を見つけることができませんでした。ただし、一般的な施工現場では、梁接合部における仮ボルトの本数と配置について、以下のような指針が参考にされています。
• 梁接合部の仮ボルト本数と配置:
• 階数や風の強さに応じて変わりますが、基本的にはスプライスプレート(SPL)ごと、ボルト群ごとに2本ずつ、プレート1枚当たり4本が基本とされています。
• スプライスプレートで挟んでフランジやウェブを留める際、仮ボルトはSPLごと、ボルト群ごとに2本ずつ配置します。
• SPLが回転しにくいように、SPL全体が母材と密着するよう、仮ボルトの位置はSPLの外側寄りとします。
• 荷重がかかる低層階や強風を受けるエリアでは、仮ボルトの本数を増やし、フランジのSPLで左右3本ずつとすることもあります。
これらの指針は、建築業連合会や日本建築構造技術者協会の資料に基づいており、現場の状況や安全性を考慮して適切な本数と配置を決定することが重要です。
なお、JASS 6(鉄骨工事標準仕様書)では、ボルト群ごとに1/3かつ2本以上とする指針が示されています。
詳細については、以下の資料をご参照ください。
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